精神医学と精神分析とはどう違うのでしょうか
精神医学と精神分析はどう違うのでしょうか
精神医学では、患者さんにたいして薬物療法が主になります。眠れないという人には睡眠薬を、気持ちが落ち着かない人には精神安定剤をというような、薬の処方がメインです。また、国家資格の医師免許をもった医者が、治療を担当することになります。マニュアルに基づいて診断を下すのも、精神科医の重要な役割です。
上記と比較すると、精神分析では、相談者にたいして「ことばによる治療」が主になります。薬の処方はありませんし、精神科的な診断を下すこともありません。精神分析については国家資格は存在せず、民間の団体が精神分析家を認定することが多いです。
例えば夜眠れないと悩む人がいるとします。単純化して言えば、もしこの「眠れない」ことを解消したいだけであれば、精神科医に会って睡眠薬をもらえば、その薬がその人に合う合わないなどの問題があるにしても、それが治療になります。それとは違って「眠れない」ことのそもそもの原因を探り、根本から解決しようと思うのなら、そのことについて思うことを色々話し、例えば人間関係に悩みがあるとか、それはどういった事柄なのか、どうすれば解決するのかを考えてみることになります。それが薬を使うのではない、「ことばによる治療」ということです。ことばには人がことばをコミュニケーションの道具として使用するという側面だけではなく、ことばが人に大きな影響を与えるという側面もあります。精神分析ではこのようにことばには人への大きな影響力があると考えています。